予防接種VACCINATION
予防接種とは
予防接種を受けることでその病気の発症によるダメージを予防、または防ぐことが可能です。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌は肺炎の原因菌の中でも特に毒性の強い菌です。
ワクチンを接種することで肺炎を予防したり、かかっても軽症ですむなどの効果が期待できるといわれています。
肺炎のほかにも
- 副鼻腔炎
- 中耳炎
- 髄膜炎
- 関節炎
- 敗血症
を引き起こすことが知られており、数時間のうちに急激に状態が悪化してしまう患者様も実際におります。
肺炎球菌は莢膜というバリアーを持っており、その型により90種類以上のタイプが知られております。
よく患者様より「一度肺炎球菌性肺炎を起こしたのでもうワクチンは不要なのでは?」と質問されることがありますが上記のように90種類のタイプが存在しており、今後も他のタイプの肺炎球菌性肺炎を起こすリスクは十分にあります。なので、特に65歳以上の方や免疫力が低下している方には積極的な接種をお勧めしております。
また、肺炎球菌ワクチンそのものに菌が入っているわけではありませんのでワクチン接種によって肺炎になる可能性もありません。
ワクチンの副反応としては20-30%の人に下記の副反応が起こることがありますがほとんど問題にならない程度です。
- 微熱
- 注射部位発赤・疼痛・腫脹
- 頭痛
上記などの反応はインフルエンザワクチンでも起こる反応と同じですので過剰に心配する必要はないですが、アナフィラキシーなど重篤な副反応が疑われるような場合は速やかに医療機関の受診をお願いいたします。
肺炎球菌ワクチンの種類は3種類あります。
- ニューモバックス
- バクニュバンス(15種類に対応)
- プレベナー13(13種類に対応)
ニューモバックスは日本では1988年に承認となったワクチンで65歳以上もしくは2歳以上で免疫力が低下する疾患をもっているかたが対象です。
23種類の菌のタイプに対応しています。現時点では公費接種がみとめられており、65歳以上で5の倍数の年齢になるかたが対象(公費接種は1回の接種のみが適応で、以後は自費になります)ですが令和6年4月以降も公費対象となるかはまだ未定の状況です。
プレベナー13は日本では2014年に65歳以上の成人に対しての承認されたワクチンです。7種類タイプのワクチンは以前から乳幼児用として使用されておりましたが現在は乳幼児も13種類タイプへ変更となっています。
13種類の中にはニューモバックスに含まれていない種類のものも含むため2種類のワクチンを打つことで相乗効果が狙えることになります。
バクニュバンス15は2022年に承認された最新のワクチンです。
現在はバクニュバンスとニューモバックスを打つことがメジャーとなっており、特にバクニュバンスの接種後にニューモバックスを接種するとブースト効果が強く期待できます。これまでの肺炎球菌ワクチンにはない重症化しやすい型をカバーしているため当院では接種を積極的にすすめております。
なお、プレベナー13バクニュバンス15は公費の対象になっていませんので自費での接種になります。
なお2種類のワクチンを接種する場合は一定期間の間隔を空ける必要が出てきます。
公費の対象となっているニューモバックスを受けるタイミングをもとに個々に接種のスケジュールを決めるとよいのでぜひ一度ご相談下さい。
肺炎球菌ワクチンを特におすすめする人
肺気腫(COPD)、糖尿病、喫煙者、高齢者、心疾患、腎不全、肝疾患、血液の悪性腫瘍、脾臓を摘出したかたは感染するリスクが高いため接種をおすすめいたします。
肺炎球菌ワクチンの通知がきた皆さんにはワクチンを受けることをおすすめいたします。
肺炎の予防には肺炎球菌ワクチンだけでは十分ではありません。
肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌という菌のみに対するワクチンです。
肺炎を起こす菌はほかにもいくつもあります。
基本的なこととして手洗い、うがい、口腔内の清潔を保つこと、規則的な生活、バランスのとれた食事など健康的な生活習慣の維持が何より大切です。
「予防は治療に勝る」という原則にのっとり前向きに検討していただけますと幸いです。
インフルエンザワクチン
このワクチンの効果は、年齢、本人の体力、ワクチンに含まれている株とそのシーズンのインフルエンザの流行株との合致状況によっても変わります。
65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったという報告があります。
みなさまが毎年接種している日本のインフルエンザワクチンでもWHOが推奨したウィルス株を基本にして、日本の流行状況や健常人の持っている免疫の状況を見ながら予測して作られています。
私も高齢者や持病をもった患者様などには毎年必ず接種するようアドバイスをしております。
当院でのインフルエンザワクチンについて
コロナウイルスワクチンとの同時接種も可能です。
よくある質問
インフルエンザの予防接種は何回するの?
13歳未満のかたは通常1シーズンに2回の接種、13歳以上のかたは通常1シーズンに1回の接種となります。
インフルエンザワクチンの添付文書を見ると生後6か月以上で13歳未満では2回の接種、13歳以上では1回または2回の接種と記載されています。現状では2009年の厚生労働省の検討により、13歳以上は原則1回接種を行うとされています。理由は1回のワクチン接種で国際的な基準を上回る十分な抗体が認められたこと、また1回接種と2回接種の間でインフルエンザに対する抗体価上昇に差がなかったことがあげられています。
持病をお持ちのかたで免疫が著しく低下していると考えられる患者様は医師の判断で2回接種を行う場合があります。
いつ頃ワクチンを接種したらいいですか?
10月~12月中旬までに接種するようおすすめします。
インフルエンザウィルスは毎年変異をしながら流行を繰り返しています。そのため私たちは原則的に予防接種を毎年受ける必要があります。インフルエンザの国内での流行はおおむね12月末から翌年の3月くらいですので、それに合わせて12月中旬までには接種することをおすすめします。
ワクチンの効果はどれくらい続きますか?
ワクチンの予防効果は接種後2週間~5か月程度となります。 もちろん本人の体力や免疫の状況にもよりますが、2回接種の場合で接種後1~2週間後に抗体が上昇し始め、3~4か月後には徐々に効果が低下していくという報告があります。
そのためワクチンの効果が期待できるのは接種後2週~5か月程度と考えられております。
インフルエンザワクチンの副反応は?
一般に副反応は軽く、10~20%で接種部位の発赤、腫れ、痛みを起こします。 上記症状は2,3日で消失します。全身の反応としては5~10%で発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などがみられますが、これも2~3日で消失します。
まれにですがワクチンのアレルギー反応として湿疹、蕁麻疹、かゆみなどが数日みとめられることもあります。
接種にあたっての注意点は?注射を受けてはいけない人はいるの?
明らかに発熱を呈している人 ・インフルエンザワクチンの成分によってアナフィラキシーを呈したことがある人 上記のかたは接種が行えません。
ワクチンは必ず体調の万全なときに行うものです。発熱をしていたり、急性の病気にかかっているときは絶対に行ってはいけません。また禁忌ではありませんが接種要注意者として過去にけいれんの既往のあるかた、鶏肉・鶏卵・その他鶏由来のものに対してアレルギーのあるかたは接種の際、要注意となります。
インフルエンザワクチンの添付文書では鶏卵アレルギーのあるかたは要注意と記載されておりますが絶対禁忌というわけではありません。インフルエンザワクチンは鶏卵の中にワクチンのもととなるインフルエンザウィルスを入れ、その鶏卵の中で増えたウィルスを精製したものをもとに作られております。そのため、ごく微量の鶏卵の成分が入っています。
ごく微量の成分とはオボアルブミンという鶏卵の成分でワクチン1回分に1ng~10ngが入っています。1ngは0.000000001gとごくわずかな量です。そのため鶏卵アレルギーがあっても問題なくインフルエンザワクチンを接種できることが多いと考えられますが、もちろん初回接種の場合は十分な体制のとれる環境のもとでの接種となります。鶏卵アレルギーの程度にもよると考えますので主治医とよくご相談をお願いいたします。
インフルエンザワクチンの助成はありますか?
一定の基準を満たすかたは助成対象です。
満65歳以上のかた、または満60歳~65歳未満のかたで心臓・腎臓・呼吸器の機能障害(障害1級程度)のあるかた、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(障害1級程度)のかた。これらのかたは自己負担金が2,300円でインフルエンザワクチンを接種できます。
妊婦ですが接種を行うべきですか?
厚生労働省や日本産婦人科学会では万一妊婦がインフルエンザにかかってしまった場合に重症化してしまうリスクを考慮し、流行前の予防接種をおすすめしています。 妊娠中はインフルエンザをはじめとした感染症にかかりやすくなっています。お母さんが赤ちゃんを異物として攻撃しないよう免疫を落とすことと、加えてつわりで食事がとれないためさらに体力が低下していること、またお腹が大きくなるため心肺機能が普段より低下しているなどの条件も加わり普段より抵抗力がなくなってしまうからです。 そのため妊婦がインフルエンザにかかると重症化するリスクが高まり、また早産のリスクも高めると言われております。そのため妊娠中にインフルエンザの予防接種は重要なものになります。 日本で使用されているインフルエンザワクチンはウィルスの感染力を失わせたものを使用した不活化ワクチンです。そのためインフルエンザワクチンの母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じて極めて低いため接種を希望される妊婦さんは受けることができます。
コロナワクチン
予約制となりますのでご希望の方はお電話下さい。
横浜市のサイトからも予約可能です。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/yobosesshu/vaccine/vaccine-portal/yoyaku.html
当日希望されればインフルエンザワクチンとの同時接種も可能です。
インフルエンザ以外のワクチンとは2週間の間隔が必要となります。
帯状疱疹ワクチン
治療薬も最近は副作用の少ないものが出てきておりますが治療後の神経痛に悩まされるケースも多いです。
帯状疱疹もワクチンである程度、予防ができるようになってきています。
当院では50歳以上のかたを対象に使用可能な不活化ワクチン(シングリックス)と生ワクチンの水痘ワクチンを取り扱っております。
いずれのワクチンでも予防効果、重症化予防により帯状疱疹後神経痛のリスクが軽減される効果が期待されます。しかしながらシングリックスのほうかいずれの効果もとても高く、なおかつ長期にわたる効果が見込めるワクチンであるため値段は高いですが年間あたりの費用は通常のワクチンと同等と考えられます。
効果
シングリックスの場合帯状疱疹に対する予防効果が50歳以上で97%、70歳以上で90% 帯状疱疹後神経痛を88%減少させる効果も期待されています。持続期間は9年以上です。水痘ワクチンはシングリックスに先立ち承認されていたワクチンです。5年を経過すると有効性が低下してしまうため再接種を検討しなければなりません。発症予防効果は50~70%、帯状疱疹後神経痛のリスクは66.5%減るという効果が期待できます。
方法
筋肉注射を2か月~6か月の間隔で2回行います。
※医学的事情で予防接種を急ぐ必要がある方は1カ月間隔で接種が可能です。
副作用
筋肉痛、微熱、接種部位のかゆみ・発赤、倦怠感、頭痛など
帯状疱疹は公費負担ではないため上記のように高価となってしまうことがあり
、悩ましいですが病気になってしまうとその後長期につらい思いをすることもあるため、予防効果は高いこのワクチンはできれば接種されたほうが良いと思っております。ご希望のかたは事前にお問い合わせください。
風疹ワクチン
風しんは妊娠中に妊婦が感染すると胎児に先天性風疹症候群を起こしお腹の子供に影響が出てしまいます。
先天性風疹症候群は子供に先天性心疾患、聴力障害、白内障、緑内障といった合併症を引き起こします。
予防ができる感染症ですので該当するかたは是非積極的に下記の無料検査を受けてください。
当院は川崎市風しん対策事業の協力施設になっております。住民票が横浜市内にあるかた以下のかたは無料で風しん抗体検査を受けることができます。
- 1妊娠を希望する女性
- 2妊娠を希望するパートナー
- 3妊婦のパートナー
- 4昭和34年4月2日から平成元年4月1日生まれの男性
抗体検査の結果により風しん抗体値が不十分である場合は予防接種(MRワクチン)の助成が受けられます。
子宮頸がん
- サーバリックス(2価)
- ガーダシル(4価)
- シルガード(9価)
当院ではシルガードの接種を推奨しております。
現在ガーダシル定期接種中の方もご相談下さい。
なお、経過措置対象(1997年4月2日~2007年4月1日生まれ)の女性の方は、全3回のスケジュールを公費で接種する場合、2024年9月30日までに1回目の接種が必要となります。
ご希望の方は電話でご予約して下さい。